Global Eyes

アメリカからのレポート

REPORTER: アメリカ語学研修生 鈴木 邦広さん

2009年8月 America アメリカ

米国暮らしで考えた日本と自分のアイデンティティ

REPORTER: アメリカ語学研修生 鈴木 邦広さん(東京アパレル第二部第二課 研修期間:2008年8月から2009年6月)

ひたすら「英語漬け」の学生生活

地図

 約10ヵ月間のアメリカ語学研修を終えて、6月に帰国しました。最初の4ヵ月は、アメリカの真ん中に位置するネブラスカ州オマハの大学で、ビジネスコースを受講しました。グローバルビジネス、ビジネスレターの書き方、プレゼンテーションなどの授業がありました。1学期は2ヵ月間で、1学期めのクラスは、スペイン、コロンビア、ニカラグア、韓国、中国、ウズベキスタンから各1人と、私の7名でした。
授業は全て英語で、クラスメイトとの会話も英語。まさに「英語漬け」の生活でした。最初の1ヵ月は先生の話す英語がわからず、わからない時に授業を遮ってでも質問するというアメリカ式のスタイルにも慣れることができず、ただただ受け身のまま過ぎてしまいました。この1ヵ月は、英語を話す自信がなく、英語を話そうにも億劫で、いら立ちと向き合う毎日でした。
2ヵ月めからは、なんとなく授業がわかるようになり、人前で英語を話すことにも慣れました。3ヵ月めは、クラスメイトが変わり、韓国人2人、日本人2人、コロンビア人1人の合計5名のクラス。この時期になると、アメリカでの学生生活にもすっかり慣れ、授業内容の理解度が増し、ためらうことなく質問できるように。授業に積極的に参加できるようになりました。

写真:1期目の卒業式
1期目の卒業式
写真:クラスの風景
クラスの風景
写真:ハロウィンパーティ
ハロウィンパーティ

初のホームステイでできたアメリカの「家族」

写真:ホストファミリーとホストファミリーと

 ネブラスカ州ではずっとホームステイをしていました。今までホームステイの経験がなく、しかも1人が好きで、不必要な気の遣い方をする性格の私にとっては、他人と一緒に暮らすことに対して、当初は大学よりも脅威に感じていました。
ところが、「住めば都」。ホストファミリーは基本的にあまり干渉してこないのですが、非常に気さくで、たまにイベントや親戚との集まりに誘ってくれたり、雨の日や寒い日に学校まで送ってくれたり、適度な距離を保って接してくれました。お陰で今ではアメリカの家族であり、アメリカに「帰る家」ができたように思っています。ただ1点、最後に空港で「Kunihiroはユニークだった。今後もそのまま突き進め」と言われたのが、いい意味なのか悪い意味なのかはわからずじまい。とりあえず勝手に「いい意味」でのユニークだと思うことにしています。

NITS米国会社で、“THEグローバルビジネス”を体験!

 研修後半はNITS米国会社(NYオフィス)でお世話になり、駐在員・現地スタッフ・顧客の皆さんに、本当に温かく迎え入れていただきました。最初にスタッフ部門の方から、物流や経理について教わり、その後、衣料部門の駐在員の方々や現地セールスマンと一緒に客先を回るなど、アシスタント的な立場で学ばせていただきました。
運がいいことに、「NYプルミエールビジョン」への展示や、「ECO-A-WEAR」の記者会見のお手伝いをさせていただくチャンスに恵まれ、いわゆる“THE グローバルビジネス”を体験することができました。
アフターファイブは週に3度、語学学校に通いました。ネブラスカ州の4ヵ月だけでは、なんとなく話はできるものの、まだまだ不十分さを感じていたので、自費で受講しました。1対1の授業のため、発音・文法は逐一訂正されました。

写真:NITS米国会社 中野さんのご自宅での昼食会 写真:水澤さんの自宅で米国産高級牛BBQ
NITS米国会社 中野さんのご自宅
での昼食会
水澤さんの自宅で米国産高級牛BBQ

本場のミュージカルやライブを堪能

 NYの醍醐味の1つであるミュージカルは何本も見に行きました。内容がわかるものもわからないものもありましたが、先日トニー賞でミュージカル部門の大賞をとった『Billy Eliot』とその対抗馬『Next To Normal』は非常におもしろく、『Billy Elliot』では何回も涙したほどです。
また、土日を利用して、フィラデルフィアとワシントンDCに行き、アメリカが自由を手にした場所や、オバマ大統領が就任演説した場所に立ち、大変感動しました。ワシントンDCでは、日本が贈った桜が満開で、思わずお酒を飲みたくなりました(アメリカでは日本と異なり、道や公園でお酒を飲めません)。
音楽のライブにも何度か行きました。日本では初めから最後まで総立ちのライブが多いですが、アメリカは自分の好きな曲の時だけ立って聴くというスタイル。たとえ立っているのが自分1人だけでも、周りの目など気にせず、ガンガン踊っている観客の姿に感銘を受けました。

写真:新しいヤンキーススタジアムでの松井の打席 写真:Blue Man Group(オフ・ブロードウェイ)を見た後、出演者と記念撮影 写真:Blue Noteの写真(フランク・シナトラJrを聴きに行きました。) 写真:Broadwayの夜景
新しいヤンキーススタジアムでの松井の打席 Blue Man Group(オフ・ブロードウェイ)を見た後、出演者と記念撮影 Blue Noteの写真
(フランク・シナトラJrを聴きに行きました。)
Broadwayの夜景

自国について堂々と語るクラスメイトに感心

 日本にいる時には、日本について知ろうという思いは、あまりありませんでした。ところが、大学には初めて日本人に会う人もいて、日本のことをいろいろ質問をされたり、授業で日本についてプレゼンをする機会があったりと、改めて日本について、自分のアイデンティティについて考えさせられました。
日本人特有の価値観、日本の歴史、文化など、私自身知らないことや曖昧な点が多かった一方で、自国について堂々と語る人もいて、母国に対する意識の差を感じました。今後は「なんとなく日本人」という立場ではなく、日本人の自覚をもって世界に立ち向かえるよう、外国語を話すだけでなく、日本にもっと興味をもち、日本についての見識を深めなくては、と現在勉強中です。

写真:冬のセントラルパークからの眺め 写真:ブルックリンから見たマンハッタンの高層ビル群 写真:セントラルパークのスケートリンク 写真:フィラデルフィアの自由の鐘の前で
冬のセントラルパークからの眺め ブルックリンから見たマンハッタンの高層ビル群 セントラルパークのスケートリンク フィラデルフィアの自由の鐘の前で

あらゆる違いを受け入れる国、アメリカ

 アメリカの人々は、出身国、肌の色、髪の色、言語、宗教などが違うことが当たり前であり、その違いを受け入れながら生活しているような印象を受けました。私の場合、もともとひっそりと自己主張をするタイプではありましたが、誰かに合わせるのではなく、自分のありのままを受け入れてもらう努力をもっとしてもいいのかなと思いました。また、相手をただ受け入れるだけでなく、より理解を深め、関係を強固にするためにも、相手の文化を知る必要性も感じました。
今回の研修で初めてアメリカに行きましたが、それまでNYの街は全ての点においてNo.1なのかと思っていました。実際には、ファッションや便利さは日本の方が優れているように感じ、アメリカに対する劣等感的なものは、かなり薄れたように思います。ただ、NYのエンターテイメント性は想像以上でした。劇場、町の中、電車の中、あらゆるところで、ダンスや歌、曲芸を目にします。演者の巧みさだけではなく、観客や見物客の楽しみ方も印象的で、決して受け身でなく、全員でエンターテイメントを創っているようでした。

貴重な海外経験を今後に活かしたい

写真:NITS米国会社 アパレル織物部が開いてくれたお別れ会NITS米国会社 アパレル織物部が
開いてくれたお別れ会

 この10ヵ月間、ここにはとても書ききれないほどの、本当に貴重な経験をさせていただきました。英語力の向上はもちろん今後に活かせると思いますが、自分の中で起きた考え方の変化や、NY生活で得た経験が、仕事にどんな影響をおよぼすのか、まだ自分でも気づいていない変化に今後気づかされることが、楽しみです。
また、私のように海外研修を経験した若手社員が増え、当社ビジネスのグローバル化に貢献できるよう、今後も研修制度を継続・発展していただきたいと思います。
最後に、このような研修の機会を与えていただいた会社と前部署の皆様に、この場を借りてお礼を申しあげます。誠にありがとうございました。

写真:最後の出勤日に、スタッフ部門の皆さんと
最後の出勤日に、スタッフ部門の皆さんと