Global Eyes

東南アジアからのレポート

REPORTER: 2008年度「シンガポール・香港留学研修生」 渡邉 淳壮

2009年11月 Singapore, Hongkong シンガポール・香港

調和の国、シンガポール ミステリアスな都市、香港

REPORTER: 2008年度「シンガポール・香港留学研修生」 渡邉 淳壮さん(化成品第一部 大阪化成品課 研修期間:2008年8月から10ヵ月)

シンガポール編

多民族国家、シンガポール

地図

写真:シンガポール・リトルインディアのインド料理店にあるバランスのおかしい象 シンガポール・リトル
インディアのインド料理店
にあるバランスのおかしい象

 研修前半の4ヵ月間は、シンガポールでホームステイをしながら語学学校に通い、さまざまな文化を体験できました。
シンガポールは、国民の比率が中華系76.7%、マレー系14%、インド系7.9%、その他1.4%から成る複合民族国家です。大多数を占める3系統に加えて、欧米、日本、韓国など、それぞれの住民が共生しながらも、異なるコミュニティを形成しています。「中国人街」から電車で2、3駅移動すれば「インド人街」や「欧米人向けのバー街」がある、という具合いです。それらのコミュニティでは中華、インドなど、本格的な民族料理や音楽も楽しめます。
街中から聞こえてくる言語は、英語、中国語、マレー語などさまざまで、英語漬けの生活というわけにはいきません。そのため、毎放課後、学校に置いてある英語のカセットテープを繰り返して聞く、予習復習をするなど、必然的に自習するようになりました。

“英語漬け”には程遠いホームステイ先

 私のホームステイ先は中華系シンガポール人の家庭でした。私と話す時は英語ですが、家族同士は中国語で会話し、テレビや新聞も中国語です。また、この家庭にはインドネシア人のお手伝いさんがいたのですが、コミュニケーションにはとても苦労しました。

●Tシャツの洗濯を頼むと、100%の確率で首の部分をデロンデロンに伸びた状態にされる。
●朝5時に窓を叩いて起こされ、窓から郵便を渡される。
●大量にアリが群がった、アリラーメンを昼食に出され、「ノープロブレム」と言われる。
●朝食の「ミロ」が溶けきらず沈殿するほどに濃い。
●ピーナッツバターがパンの厚みを超えている。
●しかも毎朝食がミロ&ピーナッツバターパン。

 その他いろいろ問題がありましたが、そのお手伝いさんは簡単な英語しか話さないので、せっかく学校で覚えても、英語でお願いすることもできません。例えば、外食をするのでその日の夕食を断る場合は、
“I'm going to eat out tonight.”(今日の夜は外で食べてきます)と言っても通じないため、“Today no dinner”(今日、飯なし)と言わなければなりませんでした。「英語の研修じゃなかったっけ?」と何度思ったことでしょうか。
そんな環境の中、基本的には学校と家を往復する生活を送っていたため、学校の授業以外はまともな英語を使わない毎日が過ぎていきました。しかし、「留学したんだから、英語ペラペラだろう」と帰国後、みんなに思われることは明白です。このギャップにとても焦りを感じたおかげで、4ヵ月間は英語の勉強にとても集中できました。

写真:語学学校のクラスメイトと 写真:放課後、中華料理のお店で
語学学校のクラスメイトと 放課後、中華料理のお店で

厳しい法律によって守られる美しいマナーと自然

写真:スンゲイ・ブロー湿地保護区のオオトカゲ スンゲイ・ブロー湿地保護区の
オオトカゲ。マングローブの中に
道が整備されていて、マングローブ
を傷つけることなく、樹木やそこに
住んでいる動物達を観察できる

写真:地下鉄・MRTの駅の非常ベル 地下鉄・MRTの駅の非常ベル。
誤使用で押したら5,000シン
ガポール$(約35万円)の罰金

 シンガポールは、前述のとおり、多民族で多宗教国家です。加えて、いろいろな国からの旅行者や駐在員や出稼ぎ労働者を狭い国土に抱えています。民族や信仰宗教、出身国によって価値観や生活習慣、公衆道徳の考え方がそれぞれ異なるため、法律で罰金を制定して、秩序の維持、街の衛生・景観を保っています。
ゴミのポイ捨てはもちろんのこと、公園の花を摘むと罰金。野鳥に餌をやると罰金。地下鉄やバスの中で飲食すると罰金。ドリアンを電車に持ち込むと罰金。街中罰金だらけです。トイレで水を流さないと罰金なんて法律もあるので、トイレでさえ誰かに見られているかもしれないので気が抜けません。
その管理のせいで生活を楽しめないかというとそうではありません。そこまで管理が徹底されているので、街は非常にきれいに整えられており、そのうえ自然も計画的に残されています。
シンガポールは旅行のリピーターが少ない国らしいのですが、それはこの国の良さが知られていないからです。シンガポールは赤道直下にあるので、熱帯雨林があり、海に近い場所にはマングローブの森もあります。自然のままの熱帯雨林やマングローブまでは、町の中心部から電車やバスで数十分。シンガポールは熱帯の自然を安全に快適に楽しめる数少ない国の1つではないかと思います。
多民族が調和した文化&手軽な大自然のシンガポール。ぜひ一度足を踏み入れて欲しいおすすめの国です。

中国・香港編

期待を裏切らないミステリアスな魅力を持つ街、香港

写真:フェリーから眺める香港島 フェリーから眺める香港島

 香港はシンガポールとは違い、とにかく街並みが雑然としています。商業区やビジネス街、住宅街などという区分けの概念がほとんどなく、例えば、高級ブランド店と同じビルの上階に事務所や居住区があります。
そんな香港はどこへ行っても「妖しい雰囲気」が感じられ、「ここにも何かあるんじゃないか?」と期待させられます。そして、その期待を裏切らず、街角で目を凝らすと必ず「なんじゃこれっ!?」というお店や人と出会えます。そんな香港で私が出会ったミステリアスな魅力を少しご紹介します。

打小人

写真:打小人

 道端に祭壇を作り座り込むおばさん達。正式名は拝神婆。妖怪みたいな名前のとおり、お仕事は「呪い」の請負です。人の姿が描かれている紙に憎き敵(上司、ライバル、恋敵、夫、妻など)の名前・性別・異性体験の有無(なぜか記入必須事項らしい)を書いて渡すと、ブツブツ「呪い」を唱えながら履き古したスリッパでその紙をバシバシと叩きながら敵をやっつけてくれます。その「呪い」の内容は「頭を打ったら、馬鹿になる」とか「口を打ったら、息ができない」などというもの。ちなみに「呪い」の対象が男性の場合、絵の中の下腹部を叩くそうです…。

Modern Toilet

写真:Modern Toilet

 トイレをテーマにしたレストラン。店内には清潔感あふれる便器がたくさん置かれています。椅子もお皿も便器、照明はラバーカップ(つまった時にスッポンスッポンする器具)というこだわりです。便器に入ったチキンカレーととぐろを巻いたチョコレートアイスが人気のメニュー。テンションの高い子供と低い大人のギャップも楽しめます。
香港には、このほかたくさんの未知の世界が待っています。皆さんも魅力いっぱいの香港に探検へ行ってみてはいかがでしょうか。

日岩帝人商事(香港)での経験

写真:NITS香港会社のオフィスにて NITS香港会社のオフィスにて。左からJackyさん、
坪木さん、Candyさん、筆者、東社長、Chloeさん

 香港での研修期間中は、香港だけでなく、日本の社内の多くの方々と仕事ができました。主な研修内容は、日岩帝人商事(香港)有限公司の産業資材部のメンバーと一緒に香港・中国での市場調査に携わることです。
調査対象は「レフテル®」(窓用高透明熱線反射・断熱フィルム)、テクノーラ® 使用「SAMMシート」(コンクリート剥落防止シート)など、日本の産業資材部門の既存商品が中心でした。市場調査の過程では、各担当部署の今まで交流がなかった方々にもいろいろ教えていただきました。
このように、研修生を継続して海外に派遣していけば、研修生の語学能力や海外での仕事を遂行する能力が上がるだけでなく、部署間のつながりが深くなり、互いに連携した商売の機会が増えていくのではないかと思います。

2ヵ国での研修を終えて

 こういう感想を述べるとお叱りを受けるかもしれませんが、今回の語学研修を終えて、これまで海外に抱いていた印象に反して、「言葉は通じなくても問題はない」と思えるようになりました。シンガポール、香港。ともに母国語の中国語やインドネシア語しか話さない人も多いため、会話が全くできない場面に遭遇しました。しかし、頭と心を駆使してコミュニケーションに真摯に取り組むことで、異文化の壁を取り払うことは可能だと感じました。
今後は研修で学んださまざまな経験を活かし、よりグローバルに視野を広げて仕事をしていきたいと思います。最後に、研修へ行かせていただいたことを、全社の皆様にあらためて御礼申しあげます。
本当にありがとうございました。

写真:シンガポールの中心部Holland road沿いにある「ボタニックガーデン」(1) 写真:シンガポールの中心部Holland road沿いにある「ボタニックガーデン」(2) 写真:シンガポールの中心部Holland road沿いにある「ボタニックガーデン」(3)
シンガポールの中心部Holland road沿いにある「ボタニックガーデン」