Global Eyes

東南アジアからのレポート

REPORTER: TEIJIN FRONTIER (VIETNAM) CO., LTD. 代表取締役社長 尾本 道生

2013年6月 Vietnam ベトナム

アジアの新たな牽引拠点として
注目されるベトナムから

REPORTER: TEIJIN FRONTIER (VIETNAM) CO., LTD.
代表取締役社長 尾本 道生

新会社として、新たな一歩を踏み出した“帝人フロンティア・ベトナム”。
「チャイナプラスワン」としてのニーズだけにはとどまらない、大きな可能性と、ベトナムならではの団結力と活気に溢れた新体制レポートを、駐在員ならではの視点で見た現地情報とともにお届けします。

TEIJIN FRONTIER (VIETNAM) CO., LTD.の概要

 当社は、TFRベトナム駐在員事務所とFASHION FORCE NO. 1 FACTORYを統合し、2013年2月に新法人としてスタートしました。ホーチミン事務所、ハノイ事務所、ドンナイ省FF1工場(登記上の本社所在地)を拠点に、北部、中部、南部、メコンデルタ地域まで、南北2000キロにおよぶ細長いベトナム国土をカバーしています。

 業務の大半は衣料製品委託加工における生産管理ですが、近年活発になってきた産業資材分野の現地進出企業への本社取引のフォロー、また、衣料製品分野では現地生地、資材の取扱いを積極的に進め、TFRグループのASEANにおける生産拠点・販売拠点として、一日も早く現地法人として独り立ちできるよう、ナショナルスタッフ共々日々奮闘中です。

写真:本社&工場(FF1)外観本社&工場(FF1)外観

写真:本社工場(FF1)の様子本社工場(FF1)の様子

きめ細やかな生産管理体制で、日本向けアパレルビジネスをバックアップ

 当社の主要業務は、日本向けアパレル製品の生産管理です。ホーチミン事務所ではスポーツ、カジュアル、子供服を自社FF1工場および現地資本協力工場数社で生産し、大阪、名古屋、東京各衣料営業部隊の要望に沿って、品質、納期、生産キャパを管理しています。

 当店のスタッフは日本語、英語に堪能で、縫製関連の専門用語にも精通、日本から来る日本語の仕様書をベトナム語に翻訳、すばやく工場にPDFデータで連絡します。新人MDは入社して直ぐベテランスタッフの下で、まずこの翻訳業務を学び、仕様書、型紙を翻訳しながら専門知識も習得していきます。

 また、毎日自社QCが工場現場に入り、指示通りに生産が進行しているかをチェックしています。これに加え毎週月曜日朝のミーティングにより、全員にスケジュール、問題点を周知します。このようにきめ細かな生産管理がホーチミン事務所の持ち味で、永年の日本向け生産実績から培われてきた重要な機能の一部です。

 また、ここ最近中国からの生産シフト先、またはASEAN地域への生産販売拠点としてベトナムを選ばれる日系企業は多く、インテリアレース、縫製縫糸、環境保護用フィルターなどのお客様の来越頻度も増加、産業資材分野は今後ビジネス拡大が大いに期待される当社の重点注力分野です。

写真:日本のアパレル向けダウンジャケットのサンプル日本のアパレル向け
ダウンジャケットのサンプル

写真:日本のスポーツアパレル向け製品サンプル日本のスポーツアパレル向け
製品サンプル

インフレの続くベトナム経済状況の表と裏

写真:多くのバイクが道を行き交う多くのバイクが道を行き交う

 2000年以降2008年までは一本調子の経済発展でしたが、リーマンショック以降のベトナム経済はそれまでの高成長にも翳りが見え、一方でインフレを上手くコントロールできずに、毎年10%以上のインフレが続き、最低賃金も毎年20%以上上がっています。しかし、「一般ベトナム庶民にとって可処分所得は一向に増えない」というのが実感でしょう。確かに賃金の上昇率がCPI(消費者物価指数)を上回っていますが、CPIはあくまで政府発表の物価統計なので、物価の実態を全て網羅しているわけではありません。ガソリン代、電気代などの基幹物価は入っていますが、一般食堂のメニュー、庶民向け賃貸家賃などCPIに含まれない日常物価の高騰が、庶民の生活を直撃しています。

 また、ベトナム社会は、急速に発展中で、ついこの前までは皆が貧しく、何も持たないのが普通であったのが、今や、日本メーカー製バイクに乗り、iPhone、iPad、Galaxy、Xperiaを持ち、PCでチャットする事が当り前の世の中になったことで、従来の生活では満足できない、言い換えれば、これまでの所得では望む生活が出来ない、もっと可処分所得が欲しい、そういう一面もあると思います。

 日本でも有名なベトナム国民食「フォー」の値段も、小生2006年赴任時一杯2万ドン程度が、今では6万~7万ドンです。日本の感覚的には同じ店で、ラーメン一杯200円が5年で600円になったってとこでしょうか。因みにもう一つのベトナム名物「オートバイ」の値段ですが、これは意外に高く、HONDAカブタイプ97CC最廉価版で約8万円、HONDAやYAMAHAのスクーター125CCが約18万円(このタイプが街中で一番多く走っています)、最も人気のPIAGGIO VESAPA LX150CC、HONDA SH 150CCだと40万円近くします。バイクはベトナム国産が大半で、主要工業製品中、唯一、部品現地調達率90%以上を達成しています。さすがバイク王国です。

ベトナム人気質(その1)「新し物好き、見栄っ張り」

写真:ホーチミン事務所にて ある日の休憩時間ホーチミン事務所にて ある日の休憩時間

 また、バイクと共にホーチミン、ハノイっ子の必需品といえば、携帯電話やスマートフォンです。暇さえあれば携帯をいじっている姿はいまや世界共通、ベトナムも例外ではありません。iPhoneは新しい物好きなベトナム人にとっては最も手に入れたいアイテムです。最新のiPhone5 16Gが8.5万円程度、大卒新人サラリーの2.5か月分相当であることを考えると入手は容易ではないはずですが、何故か巷に溢れかえっています。

ベトナム人気質(その2)「勤勉、習い事大好き」

写真:伝統的なアオザイ姿の学生たち伝統的なアオザイ姿の学生たち

 日本におけるベトナム人のイメージは、勤勉、優秀、器用、働き者といったところでしょうか。実際、彼らは勤勉で習い事が大好きです。英語、日本語、経理と言った実務関連からヨガ、ゴルフ、ネイル、楽器演奏など、趣味に関しても、まずはスクールに行くことから始めます。よって、語学学校や文化教室が街中にあり大繁盛。

 ただ困ったことに、「学校に行って資格を取れば仕事ができる」と錯覚している人に出会うなど、驚かされることもありますが、これも楽天的なベトナム人らしさの現れともいえます。もちろん当社で働いているスタッフは皆、実務にしっかり対応できる優秀なスタッフですので、ご安心下さい。

ベトナム人気質(その3)「強い結束力」

 ご存知の通り、ベトナムはアメリカとの戦争に勝利し、民族独立を勝ち取りました。今でも彼らの外国勢力に対する結束力は非常に強固で、いざとなるとそれまでの敵対関係をひとまず保留にして一致団結し、自分たちの権利を守ろうと戦います。外資系企業においてもこの結束力は発揮され、しばしば「外国人対ベトナム人」という構図になることがあるようで、こういった問題を避けるためは日頃からの広角コミュニケーションによる、事前の察知、対応が求められます。そのために、スタッフの誕生日会、歓送迎会、新年会、慰安旅行と、インフォーマルなコミュニケーションの場を多く設け、出来るだけ我々も参加するよう心掛けています。因みに当地では、誕生日、記念日、送別などのパーティは当事者が招待し、費用も負担します。当社ではそういった場合、皆で近くのレストランへランチに繰り出します。

写真:ホーチミン事務所Nhungさん送別会にてホーチミン事務所Nhungさん送別会にて

写真:送別会もみんな笑顔で送別会もみんな笑顔で

写真:送別会もみんな笑顔で

駐在員の声

2年ぶりの赴任でベトナムの急成長を目の当たりに。
一筋縄ではいかないからこそ、大きな可能性を秘めたベトナム

TEIJIN FRONTIER (VIETNAM) CO., LTD. 小野 俊英

 私は現在、主に機能衣料本部の顧客である日本の有力スポーツアパレル向けのスポーツ衣料オーダーに関し、現地の窓口として生産管理全般に携わっております。私にとってベトナムとのつながりは2006年に初めて駐在員としての赴任に始まり、2年の大阪勤務を経て今回2回目のホーチミン駐在に至ります。わずか2年での再赴任ということもあり、「あまり変化はないだろう・・・」と思っていたのですが、特に物価賃金の上昇などによる一般国民の生活水準の向上、インフラ設備の促進化は目を見張るものがあり、かつての中国を凌ぐスピードでの発展を目の当たりにしております(バイクの多さは相変わらずですが)。

 一般的に近年のベトナムのイメージは“チャイナ・プラスワン”ということで、中国と似通った印象を持たれる方も多いかと思いますが、商売に関してはその実、「全く似て非なり」。一筋縄ではいかないベトナムではありますが、親日的な雰囲気、人懐っこさもあり、今後のビジネス拡大、新たな商機開拓の可能性もまだまだ秘めておりますので、それぞれの商売を通じベトナムの良さを皆様に出来る限りお伝えできればと思っております。

街角MEMO1

フランス文化の名残─CAFÉ & Baguette─

 かつての宗主国・フランスの影響もあり、ベトナムのCAFE文化は上流階層から学生に至るまで幅広く浸透し、街中いたる所にCAFEがあります。世界第2位の生産量を誇るベトナムコーヒーは、アメリカや日本で広く飲まれているアラビカ種とは違う、ロブスタ種が主で、苦味と渋みが強く、深煎りし、凝縮してドリップしたコーヒーにたっぷりのコンデンスミルクを合わせるCafé Sua Da、ミルク無しのCafé Da(共にアイスコーヒー)は暑いベトナムの気候にマッチしたベストな飲物としてお勧めです。

 フランス文化の名残といえば「Baguette=パン」もまたベトナムの食事に欠かせません。こちらのBaguetteは中の生地はスカスカで、見た目よりもお腹に響きません。20cmくらいのBaguetteにパテ、ローストポーク、ハム、香菜、キュウリ、人参や大根のピクルスを入れ、チリ、香辛料を入れた特性のタレをかけるベトナムサンドイッチ「Banh Mi」は是非一度は試していただきたい食べ物です。1個50円~70円位で、朝食、時間の無い時のランチには最適です。

 まだまだベトナムにはご紹介したい料理、グルメスポットは数多く存在しますが、続きはベトナムにいらした時のお楽しみとして、今回はここまで。

写真:Café Sua DaCafé Sua Da

写真:街角のカフェ街角のカフェ

写真:ビーフシチュー&バゲットビーフシチュー&バゲット

写真:Banh MiBanh Mi

写真:Banh Miを作る店員Banh Miを作る店員

街角MEMO2

クチトンネル
ホーチミンから気軽に行ける観光スポット、クチトンネルをご紹介しましょう。

 ホーチミン市内の外れにあるクチトンネル。市内からは1時間半程度。ここはベトナム戦争でベトコンのゲリラがアメリカを相手に戦った激戦地です。一見、何も変哲の無い地面ですが・・・地面がパカッと割れて、人が出てきます。

 ベトコンはこうやって、アメリカ兵から身を隠していたんですね。こりゃ、アメリカも戦いに負ける訳です。写真は、自分の身や武器を隠す部屋のようなところなのですが、それ以外にも移動用のトンネルの穴がいたるところにあります。

 移動用トンネルの一つに潜ってみました。(先に穴に下りた白いTシャツのオーストラリア人は体が大き過ぎて、穴を通るのをあきらめて戻ってきました)

 地上にはベトコンにより破壊されたアメリカの戦車が展示されています。近くには実弾を試射できる射撃場もあります。

 悲惨な戦争のあった時代もありましたが、今ではすっかり平和な国となりました。活気あふれる人々と、情緒たっぷりな文化に出会いに、皆さんもぜひベトナムへお越しください。

写真:クチトンネル(1)

写真:クチトンネル(2)

写真:クチトンネル(3)

写真:クチトンネル(4)

写真:クチトンネル(5)