Global Eyes

中国からのレポート

REPORTER: 上海研修生 大久保 和幸

2009年7月 Shanghai 中国・上海

世界中のブランドが覇を競う上海から─研修生として、上海で学ぶ全てを自らの糧に

REPORTER: 上海研修生 大久保 和幸さん(2001年度入社 研修期間:2008年9月~2009年6月末)

上海からの最新ファッションレポート

 私は海外研修生として2009年6月末まで9ヵ月間、上海に留学していました。日本で営業担当をしていた時から、ファッション製品を扱う業務上、さまざまなブランド、SPA(製造小売アパレルメーカー)に興味を持ち、知識を深めてきました。幸い、ここ上海には大規模なファッションモール、百貨店が多数あります。そこで、自分なりに中国(上海)での若者のファッション嗜好、購買実態を調査し、2008年11月から毎月、レポートとして日本へ報告してきました。今回は、その中から一部をご紹介します。
世界各国のブランドが進出する上海で、日系ブランドの健闘ぶりには目を見張るものがあり、確実に中国人のファッションに大きな影響を与えていると感じます。街中での中国人女性のファッションを分析すると、トレンドカラーなど流行を意識している傾向が強く、こと女性においては化粧も含め日本女性とほぼ差がなくなってきているようです。
商社としての立場からすると、生産基地の開拓や営業活動に視点が偏りがちになります。しかし、今後はますます市場調査が重要となり、商品の背景にある購買要素をいかに判断し生産に役立てていくかという視点も必要であると感じます。
経済危機によって世界的にマイナス成長が懸念される中でも、中国経済は2009年も6%超の成長を続けると予想されています。我々の衣料業界においても、中国内で販売を進めることは大きな課題であり、チャンスであると実感しています。
日本から離れて実際に中国で生活するからこそ、当地の新鮮な感覚がわかります。今後の研修生活を有意義に過ごすためにも、引き続き調査していきたいと思っています。以下、「ファッションレポート」からの抜粋をご紹介します。

写真:正大広場

●スーパーブランドモール「正大広場」

 正大広場は別称「スーパーブランドモール」(左写真)。アジアで最も大きいショッピングストアのひとつで、地上10階、地下3階で構成されています。上海市の中でもビルの建設ラッシュが続く浦東地区にあり、私が訪れた日曜日の午前中から昼過ぎにかけても非常に多くの人で賑わっていました。
客層としては欧米のブランドが多いせいか、圧倒的多数の上海人に加えてアングロサクソン系の人々が目立ちます。建物の中には国内外のショップの他にさまざまなレストラン、映画館があります。館内の雰囲気は落ち着いており、ゆっくり買い物をするのに適したモールです。
全体を概観すると、ニつの大きな印象が残りました。一つめは「H&Mの大盛況」。ニつめは「日系ブランドの健闘」です。
正大広場には多くのテナントが入っていますが、訪れた当日も「H&M」が建物の中で一番多くの客で賑わっていました。上海には、「H&M」のように頭のてっぺんからつま先までトータルで幅広いコーディネートができるブランドは他にはありません。陳列手段やビジュアルプレゼンテーションも顧客への説得力があり、店内には北欧の洗練された雰囲気があります。写真撮影時は開店直後で、客の姿は多くありませんが、正午過ぎ再び訪れたさいには、レジにも列ができる混雑具合でした。また、国内外のさまざまなショップがひしめく中、日本ブランドでは「Honeys」と「UNIQLO」の健闘ぶりが光ります。私は上海でもファッション雑誌を読んで日本のトレンドを最低限把握するようにしていますが、「Honeys」に来るとその流れが如実にわかります。
中国人にとって、このショップの魅力は日本のトレンド商品が比較的安価で手に入ることでしょう。「Honeys」は現在中国国内に70店舗。来年5月の決算期までに合計30店舗を上回るペースで出店します。
「H&M」と日系ブランドの盛況について総合すると、中国においても、商品だけでなく、それにまつわる価値観をいかにうまく顧客に提案するかが成功の鍵を握っていると言えるでしょう。

写真:上海久光百貨

●日本式のデパート「上海久光百貨」

上海の代表的な百貨店、上海久光百貨(右写真)は2004年に地下鉄静安寺駅に直結する形でオープンした日本式のデパートです。
香港そごうが50%出資して実質的な経営をしており、地下には高級食材を扱うスーパーマーケットもあります。

写真:iiMK(アイアイエムケー)

iiMK(アイアイエムケー)
イトキン株式会社を代表するブランド。今回訪れた中で最も客が多かったテナントの一つです。トレンドを押さえたアイテムを扱っていますが、ガーリーでボーイッシュな点で下記rosebulletとはテイストが大きく異なります。雑誌でいえばrosebulletがvivi系でiiMKがnonno系といったところでしょうか。プライスはやや低めです。 上海久光百貨を訪れて感じたのは、日本のブランドの中でもとりわけナチュラル・ガーリー系の店舗(iiMK、NICE CLAUP、OLIVE des OLIVE)の人気ぶりでした。確かに、考えてみると、日本で言うところの「ギャル」や「セクシー」といった言葉を想起させるブランドは、日系ブランド以外でも数多く見かけます。一方で先の「ナチュラル・ガーリー」なテイストは、上海では意外にも特異な存在なのでしょう。

中国ファッション雑誌事情「昕微(ViVi)」

 こちらに来て驚いたことの一つは、日本のファッション雑誌の中国語版が多く売られていること。「ViVi」(昕微)、「with」(秀)、「mina」(米娜)、「Ray」、「0ggi」(今日 采)、「SCawaii!」など、種類も豊富です。上海の街角の雑誌屋で数多くの日系の雑誌が並べられているのを見ると、日本のファッショントレンドが当たり前のように中国に影響を与えていることがうかがえます。今回は日系雑誌「ViVi」(昕微)についてレポートします。 中国版は20元(280円)という安さ、日本版はこちらで買って1,300円(日本では630円)。内容は日本版と中国オリジナル版でちょうど半分ずつとのことです。
今回は中国版ができてちょうど8周年ということで、その特集が28ページにもわたって組まれていました。ちなみに中国で8は縁起のいい数字です。昨年の北京オリンピックも8月8日、午後8時8分に開会でした。

上海での生活~東華大学の留学生としての日々

●オープンマインドな寮生活

写真:クラスメイトとクラスメイトと

 東華大学で寮生活を始めた当初は、大学の寮に入ることに抵抗を感じていましたが、今では寮生活を勧めてくださったNITS上海会社の林総経理に感謝しています。
寮生活の良い点は、留学生として各国の学生と交流を深めるには最適な環境であることです。入寮当初は毎夜開催される飲み会への強制参加などに戸惑うこともありましたが、上海の学生は日本の学生とは異なり、閉鎖的な部分は少なく、すぐに人脈が広がることに驚きました。今では、多くの異国の学友ができたことは、自分の人生の大きな財産であると感じています。

●大学主催のファッションショーに参加
大学の授業は、20名程度の少人数のクラス編成です。日本人の留学生は全体の1割程度で、各クラスに2、3名程度割り振られています。会話はほぼ中国語に限られるため、中国語の上達は必要不可欠です。また、当然ながら授業内容も全て中国語で進行されるため、開講当初はついていくのに必死でした。
当校は紡織、服飾デザインなどの分野では、前身となる中国紡績大学以来の伝統があり、国内だけでなく海外でも高い地名度があります。中国人の本科生だけでなく、海外からの学生にも平等にチャンスが与えられており、私も年2回開催されるファッションショーに参加できました。中国語をもっと駆使できるようになれば、服飾知識の講座に参加して、デザインの勉強もしてみたいと考えています。

写真:大学主催のファッションショーに参加

●大満足の中華料理漬け食生活
食事は中華料理が主で、大学には食堂も完備されているため、食事の面で苦労することはほぼありません。
値段も非常に手頃で、昼食は10元(150円)程度、夕食でも20~30元(300~450円)もあれば十分な食事が楽しめます。値段を気にせず気のあう仲間と楽しむ食事は、格別の味わいがあります。また、週末には有名店の情報を仕入れ、いろいろな料理を味わうことが楽しみになっています。

写真:大満足の中華料理漬け食生活

郊外への小旅行で中国の歴史に触れる

●国慶節を利用した南京旅行
中山陵(南京中山陵)は中華民国の臨時大総統である孫文の陵墓です。
観光地になっている祭堂に至る階段は392段もあり、登るのにひと苦労しましたが、祭堂の奥に大理石の臥像があり、その下に孫文の遺体が安置されているのを見ると、感動を覚えました。
※10月1日前後約1週間の連休

●学友とともに上海近郊旅行
烏鎮は上海市と杭州市のちょうど中間地点になる浙江省北部の桐郷市にあり、江南水郷六大古鎮のひとつです。1,300余年の歴史があり、数ある水郷古鎮の中でも有名なスポットです。

写真:南京陵の前で 写真:学友とともに烏鎮へ
南京陵の前で 学友とともに烏鎮へ

海外研修を通じて

●自分なりの目標を持って日々の生活を楽しむことで「戦力」となり、会社へ貢献したい
当社の海外語学研修制度は、非常に有意義な経験になると感じています。語学の習得もさることながら、日本を離れての海外生活は、学生としてではなく、『社会人の経験を積んでいるからこそ』、見えてくることがたくさんあります。研修期間はあっという間に過ぎていきますが、自分なりに目標を持って日々の生活を楽しむことが、一番重要であると感じています。
また、中国市場への拡大は当社にとっては欠かせないミッションです。成長し続ける中国経済に対して外部から関わるのではなく、中国内販ビジネスをいっそう拡大できる「戦力」となって会社に貢献することが、最大の使命だと感じています。