Global Eyes

中国からのレポート

REPORTER: 日岩帝人商事(上海)有限公司 大連事務所 鈴木 正行

2012年6月 Dalian 中国・大連

港湾都市・大連を拠点に中国東北部の深耕を目指す

REPORTER: 日岩帝人商事(上海)有限公司 大連事務所 鈴木 正行

地図

 近年「チャイナ・プラス・ワン」のかけ声のもと、ASEAN諸国への生産基地移転がクローズアップされていますが、中国にもまだまだ魅力がたくさんあります。これまで沿岸部に集中していた開発、発展が内陸部まで広がっています。例えば、西南部に位置する大都会・成都市には、日系量販店が1997年から進出し、現在5店舗を展開しています。ここ数年、成長が著しく、売上規模は50億元にもなるそうです。大連に拠点を置く私達も乗り遅れないよう奮闘中です。

中国・大連について

写真:大連市の風景。白玉山から旅順港を望む大連市の風景。白玉山から旅順港を望む

 大連市は、中国・遼寧省にあり、遼東半島の最南端、日本の仙台市と同じ北緯39度に位置する都市です。日本の新潟県とほぼ同じ面積で、東は黄海、西は渤海に囲まれており、周囲には大小170あまりの島々が点在しています。気候は、大陸性モンスーン気候に属し、四季がはっきりしています。年間平均気温は11.5℃で、夏は最高33℃、冬は最低マイナス15℃まで下がることもあります。

 大連の人口は約670万人で、東北三省の中では4番目に人口の多い都市です。ちなみに、1番人口が多いのはハルピンで約990万人、2番目は長春で約760万人、3番目は瀋陽で約750万人です。大連市民は94%が漢族で、その他に満族、朝鮮族の人達が住んでいるそうです。大連人の気質としては、日本の東北人と似ており、忍耐力があり、人情味があると言われています。

 大連は、もともとは小さな漁村でしたが、19世紀後半に帝政ロシアからの圧力によって、その租借地となりました。日露戦争を経て、ロシアに代わり日本による直接統轄が約40年間続きましたが、第二次大戦終戦後に中国へ返還されたという歴史があります。かつてのロシアおよび日本による占領時代のモダン様式な建築物は今でも残っており、大連の町並みの美しさを引き立ています。

 日本人の特に年配の方々には大連はなじみが深く、また、昨年末までNHKで放送された歴史ドラマ『坂の上の雲』の影響もあって、日本からの観光客やビジネスマンは近年増加傾向にあり、年間約60万人が訪れています。

日系企業の進出

 大連に進出している外資系企業(登録ベース累計)は約1万4千社。このうち4千社以上が日系企業です。開発区には、日系の大手精密機器、建材、電機メーカーなど、さまざまな業種の工場が立ち並んでいます。大きな工場では、1万人以上もの従業員が働いています。

 近年は、ITソフトウエア企業の進出が増えており、IBMやインテルなど米国企業の進出が進んでいます。大連には約7千人(届出ベース)の日本人が、市内と開発区それぞれに約半数ずつ在留しています。これに出張者や旅行者を含めると、大連には常時約1万人の日本人が滞在しています。

 中国のほかの都市と比較しても、大連は日本語人材が豊富で、日本の地方自治体の事務所が開設されており、地方都市との交流も盛んです。

最近のトピックス

 大連~ハルピン間の高速鉄道が2012年7月に開通予定です。時速300kmで、全長900kmを3~4時間程度で結びます。2007年に着工し、当初は2011年末の竣工予定でしたが、昨年の浙江省での事故の影響で、慎重に準備中。現在(3月時点)、高速鉄道の専用駅も市郊外に建設中です。

 一方、市内では2路線の地下鉄を着工中で、2015年に開通する予定です。これによって、空港への移動や、市内でのメーカー回りの際の移動も便利になります。

写真:建設中の大連新駅建設中の大連新駅

写真:2012年7月に開通した高速鉄道2012年7月に開通した高速鉄道

大連事務所のスタッフとビジネス

写真:現地スタッフ(左端が筆者)現地スタッフ(左端が筆者)

 大連事務所は1995年4月に開設された日商岩井繊維部大連事務所が前身で、2002年の合併後、現在の形になりました。事務所にはベテラン運転手を含む総勢12名のスタッフが働いています。

 当初は寝装品、婦人ブラウス、ユニフォームを扱っていましたが、その後、カジュアルアウター、セーター、カットソー、紳士スーツなどにもアイテムを拡大しました。2007年にはCADを導入し、機能の強化も図っています。

 ファッションの変遷にともなって、取り扱いアイテムは婦人フォーマル、水着、婦人インナー、シャツなど、少しずつ拡大、変化しています。現在、大連での主要生産アイテムは、紳士、婦人スーツ及びユニフォームカジュアルです。

 製品は郊外店、量販店、専門店などで販売しています。特に近年は、就職活動用の婦人スーツの扱いが増えています。

大連事務所ナショナルスタッフから

大連の文化を紹介!

大連の美しい名刺―女子騎馬警察

写真:大連騎馬警察大連騎馬警察

 国内初の女子騎警である大連市女子騎警大隊組は、43人の警察大隊のうち38人が女性です。全員が大連市民で、年齢18歳以上かつ身長170cm以上の、大卒または院卒者だそうです。76頭のイギリス純血種馬が香港の退役競馬から導入、配置されています。

 普段は大連南部の山の中にある警察基地で訓練していますが、祝祭日やイベント開催時などには市街をパトロールしています。部隊にはモデル出身者などの美人が多く、大連市の美しい名刺の一つと言われています。

東北地方の田舎風習―上棟式

 上棟式とは、竣工後も建物が無事であるよう願って行われるものです。中国・東北地方では、村の上棟式について一番詳しい村の老人が、梁に赤布を巻き、屋上に祭壇を設けます。祭祀を地上で行った後は、爆竹を鳴らし、花火を上げながら散餅銭の儀(餅や銭貨を撒く)を行います。昨年、皮口近くにある縫製工場の隣の上棟式に参加しましたが、大変楽しいものでした。

写真:梁に赤布を巻く東北地方の風習梁に赤布を巻く東北地方の風習

写真:祭祀場祭祀場

海鮮の美味しい世界有数の産地

写真:大連近海で水揚げされたウニ大連近海で水揚げされたウニ

 大連市は、近海の年間平均水温が約10℃、降水量が550~950ml、塩分濃度が約30%で、このような海域で取れる海産物は成長時間が長いため、世界でも数の限られた海鮮の美味しい産地だと言われています。ナマコ、アワビ、帆立貝、シャコ、ウニ、牡蠣、渡り蟹などが有名です。

 一年中、食べられますが、繁殖期を避けるため毎年6月1日から9月1日までは禁漁期間で、10~11月が一番おいしいシーズンだと言われています。

【乾燥ナマコの戻し方】

 ミネラルウォーターに浸し、毎日1~2回水を変えながら2日間、冷蔵保存します。柔らかくなったナマコを茹で、沸騰後、さらに弱火で15~30分煮たらそのまま冷まします。お腹の切り口から白い筋以外を取り除き、洗ったナマコを2回蒸し、沸騰後、弱火で15~30分茹で、冷まします。後は水に浸して1日冷蔵すれば、約1週間食べられます。

獅子の頭をした象より大きな体の「年」という猛獣

写真:中国の旧正月では、華やかな飾り付けで新年を祝う中国の旧正月では、華やかな飾り付けで
新年を祝う

 大昔、獅子の頭をした象より大きな体の「年」という猛獣がいたそうです。山奥に住んでいた「年」は、冬になり食べ物が乏しくなると山里に下りてきて、家畜を捕食し、さらには人を食べるようになっていました。

 ある日、「年」が赤い色や火、大きい音を恐れることに気付いた村人達は、玄関扉の両側に赤い紙を貼り、家の周辺を松明で囲んで、一晩中、大きな音を出して、ついに「年」を撃退しました。翌日、村人達は「おめでとう」と互いの無事を喜び合い、鶏や豚でご馳走を作って会食を行った̶̶という伝説があります。

 以来、旧正月には家々のドアの両側に赤色の紙(春聯といいます)を貼り、爆竹を鳴らしたり、一晩中起きていたりして「年越し」する風習ができたということです。