ニュースリリース

2017/01/12
伝統工芸の技術をウェアラブルセンサーへ
圧電組紐の開発と展開について

 関西大学(本部:大阪府吹田市、学長:芝井 敬司)システム理工学部の田實 佳郎 教授と帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:鈴木 純)は、ポリ乳酸繊維を使用の圧電体を組紐状にしたウェアラブルセンサー「圧電組紐」を世界で初めて開発しました。

 この圧電組紐は、1月18日から東京ビッグサイトで開催される「第3回ウェアラブルEXPO」において初めて展示されます。(ブースNo.西ホール W23-002)

写真:動画(脈拍計測デモ)動画(脈拍計測デモ)

 圧電体は、圧力を加えると電気エネルギーを発生し、逆に電気エネルギーを加えると伸縮する特性を有する物質の総称で、その特性を利用し、スイッチなどのセンサーやスピーカーなどのアクチュエーター(駆動体)として使用されています。そして、関西大学と帝人は、2012年にポリL乳酸とポリD乳酸を積層させることで透明性・柔軟性を付与した「圧電フィルム」、2015年に世界初のポリ乳酸繊維を用いたウェアラブルセンサー「圧電ファブリック」、昨年12月には、従来の圧電素子にはない荷重依存的、持続的に電圧が発生するという特性を持つ「圧電ロール」を共同開発しており、環境配慮型素材であるポリ乳酸を圧電体として適用する可能性を拡げてきました。

 こうした中で、このたび関西大学と帝人が開発した圧電組紐は、日本の伝統工芸である「組紐」の技術を用いることにより、1本の紐で「伸び縮み」「曲げ伸ばし」「ねじり」といった動きのセンシングを可能にした世界初の組紐状ウェアラブルセンサーです。この圧電組紐は、柔軟かつ屈曲性のある紐状のセンサーであるため、目的に合わせて様々な太さや長さ、形状に調節することができます。また、低ノイズ、高感度を実現しており、はんだ付けが不要で、小型コネクタで容易に機器と接続することもできることから、一般産業用のセンサーとして幅広い用途での使用が期待されます。

 さらに、この屈曲性のある組紐に古くから伝わる「結び」の手法を用いることでファッション性を加えることのみならず、より鋭敏に反応を示すセンサーとしても使用できることから、チョーカーなどの首飾りにして、脈波や嚥下、咳などを識別する生体センサーとして活用することも可能です。

写真:コースター(かごめ十五角結び)、キーホルダー(梅結び)

写真:チョーカー(上:亀結び、下:吉祥結び)

【このたび開発した圧電組紐】

左:コースター(かごめ十五角結び)

中:キーホルダー(梅結び)

右:チョーカー(上:亀結び、下:吉祥結び)

 今後は、関西大学と帝人が引き続き共同で要素技術の研究・開発を行うとともに、帝人グループで衣料・産業資材製品の開発・販売を担う帝人フロンティア株式会社(本社:大阪市中央区、社長:日光 信二)が用途開発を強力に推進していきます。織り編みや刺繍、組紐など、従来のウェアラブルセンシングデバイスに欠けていた「ファッション性」や「着用感」などのニーズに応じて仕様を調整できるため、ファッションやスポーツアパレル、インテリア、ヘルスケアなどの用途を中心に幅広い展開を図っていきます。

 なお、初めての展示となる「第3回ウェアラブル EXPO」では、圧電組紐を活用したゴルフウェア、および圧電ロールを活用した体重移動計測マットを用いたスイングコーチングデモを実施します。従来の加速度や赤外線センサーでは計測不能であった「ねじり」「曲げ」といった精緻な情報を、マーカーや高度情報処理を要することなく、瞬時にデータ化し、レッスンプロによる実際の活用方法を提案します。(レッスンプロによるデモは初日のみ)

 関西大学と帝人グループは、今後も産学連携によるこれまでにない価値の創出を強力に推進していきます。ポリ乳酸という環境配慮型素材による圧電体の可能性を追求することにより、AR(Augmented Reality:拡張現実)の基本となるセンシング技術を確立し、IoT(Internet of Things)社会の進展に貢献していきます。

当件に関するお問合せ先

帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL:(03) 3506-4055

関西大学 総合企画室 広報課 TEL:(06) 6368-1131