TEIJIN帝人フロンティア株式会社

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2014/06/05
ノンコーティングで高耐水圧・高透湿・高撥水と着用快適性の両立を実現
高密度織物『デルタ®2000』の開発と販売について

 帝人フロンティア株式会社(本社:大阪市中央区、社長:竹中 哲嗣)は、このたび、スポーツ分野を中心としたアウター用途向けに、優れた機能特性と着用快適性を兼ね備えた、高密度織物素材『デルタ®2000』を開発しました。

 『デルタ®2000』は、理想的な織物の構造により、「高耐水性」「高透湿性」「高撥水性」という3つの特性と、独特な軽量感やソフトな風合いなどの着用快適性の両立を実現した全く新しい素材です。

 帝人フロンティアでは、『デルタ®2000』を2014年秋冬向けスポーツウェア用の重点プロモーション素材と位置付け、今後、スポーツ用途を中心に積極的に販売展開していきます。

1. 開発の経緯

(1) 織物のアウター商品は、様々な種類のものが幅広く展開されていますが、一般的には、日常生活で降雨時の着用などに耐え得るには、2000mmH2Oの耐水圧が必要と言われています。従来の技術では、2000mmH2Oの耐水圧を付与するためにコーティングなどの後加工が必要となりますが、その結果、風合いが硬い、衣服内が蒸れて不快など、着用快適性に問題がありました。

(2) 一方、撥水機能については、環境に対する自主規制により、撥水剤の主成分が C8フッ素系撥水剤からC6フッ素系撥水剤に移行したため、撥水性能の低下や風合いの硬化という問題が発生しており、それに対する対策が必要となっています。

(3) こうした中、帝人フロンティアは、スポーツ素材として好評を得ている「デルタ®」シリーズ(*1)の技術を利用した新しい切り口での開発に取り組み、ノンコーティングでも2000mmH2Oの耐水圧を実現するとともに、「高耐水性」「高透湿性」「高撥水性」という3つの優れた機能性と、独特な軽量感やソフトな風合いといった着用快適性の両立を実現する『デルタ®2000』の開発に成功しました。

(*1)「デルタ®」シリーズ:
スポーツ用途を中心に展開する高バランス素材。ニット素材「デルタ®」や織物素材「デルタ®-WV」などがある。

2. 素材の特徴

 「デルタ®」シリーズで使用する高捲縮で微細クリンプ(縮れ)形態の特殊嵩高糸を経糸に、特殊極細糸を緯糸に使用して、最適バランスの高密度織物を設計し、3次元的に布帛内の空隙を極小化することで「高耐水圧」を、多くの空気を含む微細凹凸構造により水滴を点接触化させることで「耐久撥水性」を実現しました。また、ノンコーティングのため「高透湿性」を実現し、独特の軽量感とソフトな風合い、および高級感のある表面感も兼ね備えています。

【特殊嵩高糸のイメージ図】

特殊嵩高糸のイメージ図

クリンプ(縮れ)サイズを極小化し、個数を最大化
(ポリマー~製糸~糸加工の複合技術)

(1) 技術内容

  内容 効果
原糸 [経糸] 特殊嵩高糸(「デルタ®」技術)
[緯糸] 特殊極細糸
  • 3次元的に布帛内の空隙を極小化することで「高耐水性」を付与
  • ノンコーティング高密度化技術により「高透湿性」と「着用快適性」を付与
  • 微細凹凸空気層により水滴を点接触化し「耐久撥水性」を付与
織物 高密度織物設計
加工 嵩高染色加工(「デルタ®」技術)特殊撥水処方(C6撥水剤対応)

(2) 基本スペック

  1. 耐水性(ノンコーティング)
2000mmH2O(JIS L1092 B法)
  1. 撥水性(C6撥水剤)
転がり角度5度(帝人法)
洗濯0回=5級、洗濯100回=4級(JIS L1092 スプレー法)
  1. 透湿性(ノンコーティング)
10000g/m²24h以上(JIS L1099 A1法)

3. 販売目標

2014年度:100,000m/年
2017年度:500,000m/年

4. 今後の展開

 「高耐水性」「高透湿性」「高撥水性」という3つの特性に加え、独特の軽量感とソフトな風合い、高級感のある表面感を持ち合わせた理想的なアウター商品であるため、スポーツ用途をはじめ、ファッション用途、ユニフォーム用途などに幅広く展開していきます。

【電顕写真】

電顕写真(1)

電顕写真(2)

当件に関するお問合せ先

帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 [東京] (03) 3506-4055 [大阪] (06) 6268-2763