2017/10/16
深刻な大気汚染に対するソリューション
「ナノフロント®バグフィルター」の開発について
帝人フロンティア株式会社(本社:大阪市北区、社長:日光 信二)は、ポリエステルナノファイバー「ナノフロント®」を使用することにより、粉塵・粉体の捕集効率に優れ、省エネルギーや長寿命化が期待できる「ナノフロント®バグフィルター」を開発しました。
1. 開発の背景
- (1) 中国では大気汚染の深刻化から、都市部においては工場の粉塵排出量を30mg/m³から10mg/m³までに抑える規制が設けられるなど、粉塵の排出量低減が強く求められています。
- (2) 粉塵の排出量を低減させるためには、バグフィルターの濾過面を細目化することによって集塵量を高める必要があり、一般的にフッ素系の多孔膜を貼付したバグフィルターが使用されていますが、一方で、細目化することで目詰まりが発生したり、通気量が減少するなどの問題がありました。
- (3) また、排気エネルギーを増加させることにより破膜する恐れがあるため、バグフィルターを並列するなどの増設工事が必要となり、高コストになることが課題となっています。
- (4) 帝人フロンティアはこのようなニーズに応えるべく、高い捕集効果と高い通気量を同時に実現する「ナノフロント®バグフィルター」を開発しました。
2. 「ナノフロント®バグフィルター」について
このたび開発した「ナノフロント®バグフィルター」は、直径700nmのポリエステルナノファイバー「ナノフロント®」を使用することにより、次の特性を備えています。
- (1) 粉塵・粉体の高い捕集効率
- バグフィルターの濾過面にはシート状の「ナノフロント®」を張り合わせているため、微細な孔径構造により高い捕集効果を実現しています。フッ素系樹脂膜製のバグフィルターに比べ、排出される微細な粉塵を半分程度に低減できるという結果が得られており、粉塵排出量を 10mg/m³ 以下に抑えることが期待されます。
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【セメントメーカーによる比較テストの結果】
フッ素系樹脂膜製 「ナノフロント®バグフィルター」 排出濃度 6mg/m³ 3mg/m³ ※ 当データは商品の品質を保証するものではありません
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<使用後のバグフィルターの状態>
一般のバグフィルター
「ナノフロント®バグフィルター」
- (2) 省エネルギー性能
- 従来のフッ素系樹脂膜製のバグフィルターよりも通気量を約50%向上させることができます。さらに、バグフィルターに付着した粉塵・粉体を洗浄する間隔を約40%延長することができ、必要な通気を確保するために要する電力消費量や洗浄回数も減少することから、省エネルギー化が期待できます。また、洗浄に要する時間が短縮され、捕集効率も改善することから、10%以上の生産性向上も期待できます。さらに、フッ素系樹脂膜に比べて厚みがある繊維層であるため、破れにくく長寿命が期待されます。
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【セメントメーカーによる比較テストの結果】
フッ素系樹脂膜製 「ナノフロント®バグフィルター」 圧力損失(*1) 1500Pa 800Pa 洗浄周期(*2) 270sec 375sec ※ 当データは商品の品質を保証するものではありません
(*1) 圧力損失:流体がバグフィルターを 通過する際に失う単位体積あたりのエネルギー
(*2) 洗浄周期:バグフィルターに付着した粉塵・粉体を洗浄する間隔
3. 今後の展開
- (1) 帝人フロンティアは、このたび開発した「ナノフロント®バグフィルター」を、国内外のセメントメーカーを中心に、鉄鋼メーカーや粉体製造メーカーへと幅広く提案し、積極的に拡販を図っていきます。
- (2) これにより、2020年度には約10億円の売上を目指します。
なお、10月16日から18日に中国の上海世博展覧館で開催される「IPB2017第15回国際粉体加工/散料輸送展覧会」で展示します。(ホール4ブース No.1725)
当件に関するお問合せ先
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 TEL:(03) 3506-4055