C反の未来をひらく!
ワンチームで挑む
アップサイクルへの挑戦

この記事は、2025年11月に読売新聞オンラインに記事広告として掲載されたものです。

帝人フロンティアが廣瀬俊朗さんとともに、2024年度からスタートした「未来をひらく、New Frontierプロジェクト」。これまで、帝人フロンティアの若手社員が
廣瀬さんに事業内容を紹介する動画や、廣瀬さんと平田恭成社長が人財育成について対談する動画を配信するなど、さまざまな取り組みを行ってきた。

「未来をひらく、New Frontierプロジェクト」とは?

帝人フロンティアのCCP(Co-Creation Partner)に就任した、元ラグビー日本代表キャプテンの廣瀬俊朗さんと共に取り組むプロジェクト。当社のソリューションがどのように社会に貢献していくのかを、より多くの方に親しみを持って理解してもらえるように活動するとともに、社員のリーダーシップやフロンティアスピリッツも育成し、「より良い未来を共に創り出す」ことを目指している。

そして、2025年度もプロジェクトは継続中。廣瀬さんの繊維に対する理解や、社員たちとの信頼関係も深まり、より具体的に「未来をひらく」アクションをおこす
フェーズに移ろうとしている。今回は、新たな取り組みである「C反」アップサイクルへの挑戦を追った。
※出演者の部署 肩書等は、撮影時(2025年9月)のものです

メンバー

株式会社HiRAKU代表取締役
元ラグビー日本代表キャプテン
帝人フロンティア株式会社CCP

廣瀬 俊朗さん

帝人コードレ

久本 茉季さん

帝人コードレ

山崎 貴也さん

帝人コードレ

西條 愛理さん

帝人コードレ

有馬 滉雄さん

01

もったいないC反を何とかしよう!!
若手社員とアイデア出しミーティング

そもそも、C反とは何なのか。繊維業界の専門用語だが、聞いたことのない人も多いはずなので解説しておきたい。

C反とは?

「Cクラスの反物」の略で、織物、ニット生地、レースなど、あらゆる種類の生地に使われる言葉。生地の品質検査において、汚れ、編み目や織りの欠陥などにより、出荷基準を満たさないと判断された生地のことを指す。現状、廃棄されてしまうことが多い。

生地をつくるうえで、C反の発生を完全にゼロにすることは難しく、環境負荷や経済的損失の一因となっている。何とかできないか。かねてからそう考えていた一人が、帝人コードレ株式会社 企画推進部の久本茉季で、今回のプロジェクトリーダーだ。

帝人コードレは、帝人フロンティアのグループ会社で、人工皮革の開発・製造・販売を行っている。人工皮革とは、繊維や樹脂を使って天然皮革を人工的に再現した素材で、スポーツシューズ、ボール、ランドセル、紳士靴などさまざまな分野で製品化されている。

帝人コードレでは、人工皮革のベースとなる基布(きふ)のほとんどに、帝人フロンティアが展開するリサイクルポリエステル繊維「ECOPET®
(エコペット)」を使用している。これは、環境に配慮した事業運営を行う帝人フロンティアグループの取り組みのひとつだ。ただ、それでもC反が出ることは避けがたく、久本はこう語る。

久本

「もちろん、極力減らすように日頃から努力はしているんです。ただ、どうしても発生してしまうC反を、うまく活用できないものかと入社当初から考えていました。そこで今回『未来をひらくNew Frontierプロジェクト』のテーマとして“C反の活用”を取り上げ、廣瀬さんと共同で進めることとなりました」

目指すはアップサイクル。リサイクルとは異なり、本来捨てられるはずだった廃棄物や不要なものにデザインやアイデアなどの新たな付加価値を与え、別の新しい製品にアップデートして生まれ変わらせることが目標だ。

久本はまず、C反をどのように活用できるか、社員同士でアイデアを出し合うために、入社1年目である営業部の西條愛理と有馬滉雄に声をかけた。

有馬

「コインケース、パスポートケース……あっ、名刺入れはどうですか?」

西條

「私はサコッシュがいいかなと思いました」

人工皮革の質感を活かしたもの作りのアイデアが次々と出てきた。C反であるため、傷などの外観不良があっても避けて使えるよう、小物中心に考えられている。ただ、入社1年目らしい疑問も。

西條

「でもこのアイデア、どうやって形にするんですか?」

有馬

「ウチって素材メーカーだから、最終製品の企画や販売はしていないって研修で学んだんですけど……」

久本

「確かにそうなんだけど、だからこそ、今回の挑戦で最終製品まで作れるっていう実績を作りたくて。ちょっと廣瀬さんに相談してみましょう」

早速、三人は廣瀬さんにお願いし、オンラインミーティングを開催した。

廣瀬

「その製品を届けたいターゲットや、それが使われるシーンを具体的にイメージできると、より方向性が見えてくるんじゃないかな。それと、できれば実物のC反に触れる機会があると、僕もアイデアを出しやすいな」

久本

「それなら廣瀬さん、人工皮革を製造している帝人コードレの島根工場に集合しましょう!」

廣瀬

「ええ!!いきなり? でも、行きましょう!(笑)」

急きょ、廣瀬さんにも島根工場に来てもらうことが決定となった。

02

島根工場でC反の実物に触れたらナイスな活用方法が見えてきた

「今日はよろしくお願いします」

久本と廣瀬さんを迎えたのは、島根工場・製造課長の山崎貴也。島根県西部の大田市に位置する島根工場は、人工皮革の製造から仕上げ加工までを行っており、技術開発にも力を入れている。

山崎さん

「廣瀬さん、ようこそ島根工場へ」

山崎がテーブルに広げたC反は、一見しただけではどこに不具合があるのかわからないようなものばかり。

廣瀬

「こんなにいろんな見た目があるんですね。これは粒感があって、これは何だか、なめし革のような……」

久本

「そうですね。これは特に革らしさを追求したものなんですが、それでいて通気性にも優れているんですよ」

廣瀬

「えっ、この見た目で!?」

山崎

「蒸れにくいので紳士靴などに使われています。ただ、厚みがちょっと薄くなってしまった、それだけで販売できずにC反になってしまうんです……。帝人コードレの素材は厳しい検査を通していますので、品質はとても高い。C反といっても充分使えるものです。何かしら有効活用できれば、我々も本当にうれしく思います」

日本は特に、製品の品質基準が厳格であるため、C反発生はすべての事業者にとって避けられない現実。でも、ほんの少し、基準に満たなかっただけの高品質な生地が捨てられてしまうのは本当にもったいない。廣瀬さんもプロジェクトへのモチベーションがさらに上がったようだ。

廣瀬

「これは今回のプロジェクト、本当にやらなきゃダメですね。やりましょう。僕も環境活動には以前から取り組んでいて、運営しているカフェのTシャツもリサイクル素材を使っています。製品開発が得意な仲間もいますので、一緒にやっていきましょう!!」

続いて「C反を使って、どんな製品を作ったらいいか?」という話題に。

久本

「廣瀬さんといえばラグビーですけど、何かラグビーに関連したアイデアってありますか?」

廣瀬

「僕はワインが大好きなんだけど、ラグビーが強い国って、実はワインも有名なんだ。フランス、イタリア、ニュージーランド、オーストラリア……。だから、よくワインを持って友達の家に行ったりするんだけど、その時にワインを入れる感じのいいバッグを作れたらいいかもしれないね」

久本

「わっ、いいですね!ラグビーとワインにつながりがあるなんて全然知らなかったです。面白い、是非やってみたいです」

一人ではなかなか思いつかなくても、みんなで話し合えばアイデアが生まれる。また、実際に現場に足を運び、実物に触れることが大切だということも再確認できた。「これからも、それぞれの役割を果たしながらワンチームで頑張っていこう!!」と、決意を新たにした一日だった。

03

メンバーの思いをカタチにしたサコッシュとワインバッグが完成

その後、チームは数ヶ月かけて試作を繰り返した。

廣瀬さんから紹介された、製品づくりに詳しいメンバーともミーティングを重ね、ようやく完成した製品がこちらである。

左は、若手社員のアイデアを形にしたサコッシュ。パッと目を引いてファッションのアクセントにもなり、ICカードなどが入れられるポケットも付けた。また、右は廣瀬さんの思いを詰め込んだワインバッグ。ワインボトルを横倒しに入れてスタイリッシュに持ち運べ、黒一色のシンプルデザインとした。

内部は保冷効果のあるアルミシートを貼り、容量が大きいのでさまざまな使い方ができる。生地は手触りが良く、高級感もある。

廣瀬

「ワインだけでなくビールもOKだし、お弁当なんかも入れられる。スポーツの試合観戦、アウトドアでピクニック、そんなシーンで使ってもらいたいですね」

イメージをふくらませている廣瀬さん。製品ブランドのネーミングにもこだわって考えたと語る。

廣瀬

「C反を僕らが受け取って(=キャッチ)、価値を加えて(=アンド)、必要とする次の人につないでいく(=パス)。キャッチ、アンド、パスするから、【CATCH&PASS】というブランド名にしました。これを使った人もまた、次の人にその楽しみをパスする、そんな“いい循環”が生まれるブランドにしていきたいです」

プロジェクトリーダーを務めた久本も、ひとまず製品化までこぎつけたところで、あらためて思いを語った。

久本

「自分にとって製品化は初めての試みだったので、廣瀬さんも含め、他部署の人などいろんな方々に相談しながらプロジェクトを進めてきました。製品化までは、やっぱりいろんな壁がありましたが、こうして形になったことは本当にうれしく思っていますし、この取り組みが私たちにとっても、これからの当社のものづくりにとっても、未来をひらくヒントになったんじゃないかなと思います」

繊維産業は、製造段階での大量の水使用やCO2排出など、環境負荷の大きさが指摘されている。こうした中、帝人フロンティアは繊維を扱う企業として、環境問題にいち早く正面から取り組んできた。

04

分かりやすく紹介!動画をチェック

学びの様子は動画でも。ぜひご覧ください。

帝人フロンティアグループの環境に対する取り組み

帝人フロンティアは、リサイクル繊維「ECOPET®」や植物由来の原料を一部使用した繊維「SOLOTEX®」など、環境負荷の低い素材開発を進めるとともに、省エネ・省資源・CO₂削減を目指した生産体制を構築している。さらに、衣料や産業資材分野でのリサイクル循環や、パートナー企業との協働によるサプライチェーン全体での環境改善にも取り組んでいる。“地球と共に生きる企業”として、持続可能な社会の実現を目指し、これからも素材から製品までサステナブルなものづくりを積極的に推進していく。

今回の「C反」アップサイクルは、未解決の問題に挑み、若手も巻き込んで環境への意識を高めながら新事業の可能性を模索する一歩となった。
オリジナルブランド【CATCH&PASS】を廣瀬氏とともに大切に育てながら、「未来をひらく、New Frontierプロジェクト」はさらなるチャレンジを続けていく。