発汗により高いレベルで自動的に通気性をコントロール 次世代型の自己調節快適素材を開発

帝人フロンティア株式会社(本社:大阪市北区、社長:平田 恭成)は、発汗時の水分に反応して編地が三次元的に構造変化することにより、体感可能なレベルで通気性が高まり、衣服内の蒸れ感を解消する快適素材「FIBALIVE AC(ファイバライブ エーシー)」を開発しました。帝人フロンティアは2023年度向けより、「FIBALIVE AC」を通年対応が可能なスポーツ・アウトドア向け衣料の重点プロモート素材と位置付け、積極的に拡販を図っていきます。

1.開発の背景
(1)当社は、吸湿性の異なるポリマーからなるS/S(サイド・バイ・サイド)型複合糸(*)を使用した、水分に反応して編目が開閉することで衣服内の蒸れ感を軽減する快適素材「FIBALIVE」を2009年より販売してきました。
(*)S/S型複合糸: 目的に合わせ、特性の異なる2種類のポリマーを貼り合わせて糸にし、コイル状のクリンプ構造を有する複合糸。
(2)しかし、これまでの「FIBALIVE」は、発汗時に編目が大きく開くことで衣服のサイズに変化が生じるほどであったため、製品化においては編目の開閉の変化量を一定規模に抑えざるを得ず、通気性のコントロール機能低下を余儀なくされていました。
(3)こうした中、S/S型複合糸による特殊加工糸を使用することで、編地構造が二次元方向ではなく三次元方向に変化し、高いレベルで通気性をコントロールできる新たな立体編地構造体として、自己調節快適素材「FIBALIVE AC」の開発に成功しました。

2.技術の概要
(1)  クリンプの変化と編目の開閉


(2) 吸水時の編地構造の変化イメージ

 
(3)工程別の技術概要
製 糸 ・吸湿性の異なる2種類のポリマーによるS/S型複合糸の製糸技術
・S/S型複合糸と極細捲縮糸を組み合わせる特殊加工糸
製 編 ・特殊加工糸を三次元方向に配置した特殊立体編地構造体
・優れる防風性(通気量:50cc/cm2/sec以下)を実現した高密度編地設計
染色仕上げ ・自己調節機能を適正にコントロールする染色加工技術
・通気性の変化や寸法変化などの機能性、高品位の品質管理技術

3.「FIBALIVE AC」の特長
機 能 性 ・高レベルな通気性の変化(発汗前に比べて2倍以上の変化が可能)
・吸水時の通気性に関わる寸法変化抑制(変化率:タテ・ヨコとも5%以下)
高密度編地設計による優れた防風性(通気量:50cc/cm2/sec以下)
・ソフトな風合いと外観の優れた質感
・高バランス素材「デルタ」や汗染み・汗冷え防止機能を有する「トリプルドライカラット」、消臭機能素材「エコピュアー」など、他の機能性素材との複合が可能
環 境 面 ・リサイクルポリエステルとの組み合わせが可能

・自動的に通気性をコントロールできて省エネに貢献

4.今後の展開
スポーツ・アウトドア衣料用途に向けて販売を開始し、カジュアル、ユニフォームなどの機能性衣料用途、および資材用途なども含めて幅広く展開して、2024年度には25万mの販売を目指します。


 「FIBALIVE AC」を使用した製品

【 当件に関するお問合せ先 】
帝人フロンティア株式会社 広報・IR部 TEL:(03)6402-7087