循環型社会の実現に向けたポリエステル繊維の新リサイクル技術を開発
帝人フロンティア株式会社(本社:大阪市北区、社長:平田 恭成)は、環境価値向上を推進するため、環境戦略「THINK ECO」を掲げ、グループ一丸となり衣料から産業資材までの幅広い用途で、環境配慮型の素材や製品を展開していますが、このたび新たに開発した解重合触媒を使用することにより、着色されたポリエステル繊維を石油由来の原料と同等の品質に再生が可能で、従来よりも環境負荷が少ない新たなリサイクル技術を開発しました。
帝人フロンティアは、このたびの新たなリサイクル技術の開発を足がかりとして、より一層のリサイクル促進による循環型社会の実現に貢献していきます。
1.背 景
(1)当社は、ポリエステルの製造技法のひとつであるDMT法(*1)を活用したケミカルリサイクル技術を基盤に確立した、ポリエステル繊維製品の循環型リサイクルシステム「エコサークル」を2002年に立ち上げるなど、ポリエステルのリサイクル事業を展開してきました。
(*1)DMT法:テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを使用したエステル交換反応によりポリエステルを重合する方法
(2)しかしながら、2017年12月に中国で施行された廃棄物由来原料の輸出入規制によって、リサイクル設備のある中国へ使用済みリサイクル原料を輸出することができなくなったことから「エコサークル」は2018年に製品の回収を終了せざるを得ませんでしたが、使用済のポリエステル繊維を新たな繊維に再生する「繊維 to 繊維」のリサイクル技術の開発は中断することなく継続してきました。
(3)DMT法を活用したケミカルリサイクル技術は、ペットボトルなどを溶かして成形するマテリアルリサイクル技術と比較して、リサイクルに伴う品質の低下が少ないという点で優れていますが、工程にかかる消費エネルギーが大きくなることが課題でした。
(4)一方、主に無色透明のペットボトルからペットボトルにリサイクルする際に用いられる技術としてBHET法(*2)がありますが、DMT法と比較して、工程におけるエネルギー消費量が少ないという点がメリットです。この技術では、着色されたポリエステル繊維から染料などの異物を完全に除去できなかったり、再生されたポリエステル原料に変色を来すなど、品質の高いポリエステル原料にリサイクルすることが困難でした。
(*2)BHET法:使用済ポリエステルを化学的に分解し、中間原料であるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートに戻して精製した後、ポリエステルに再重合する方法
(5)こうした中、当社は、工程におけるエネルギー消費量がDMT法を活用したケミカルリサイクル技術よりも少ないBHET法を用いて、着色されたポリエステル繊維であっても、石油由来と同等の品質のポリエステル原料に再生できる新たなリサイクル技術を開発しました。
2.新リサイクル技術について
(1)このたび開発した新リサイクル技術は、従来のBHET法に新たに開発した解重合触媒を用いることで、再生ポリエステル原料の変色を抑制することが可能で、石油由来のポリエステル原料と同等の品質の再生ポリエステル原料にリサイクルすることができます。
(2)また、この新リサイクル技術においては、DMT法よりも工程数が少ないためにエネルギー消費量が少なく、さらには排水、排液、解重合触媒などを再利用することができるため廃棄物の削減が可能です。
3.今後の展開
(1)帝人フロンティアは、本年5月にパイロットプラントを松山事業所内に設置して実証試験を進めていくとともに、さらに高品質なリサイクルポリエステル原料の生産と環境負荷低減を実現するリサイクル技術の開発に向けて改良を重ねていきます。
(2)また、持続可能なバリューチェーンの実現を目指し、パートナー企業や国内外のコンソーシアムなどと連携して、持続可能なポリエステル繊維の「繊維to繊維」のリサイクルを実現する仕組みを構築します。
【 当件に関するお問合せ先 】
帝人フロンティア株式会社 広報・IR部 TEL:(03)6402-7087
帝人フロンティアは、このたびの新たなリサイクル技術の開発を足がかりとして、より一層のリサイクル促進による循環型社会の実現に貢献していきます。
1.背 景
(1)当社は、ポリエステルの製造技法のひとつであるDMT法(*1)を活用したケミカルリサイクル技術を基盤に確立した、ポリエステル繊維製品の循環型リサイクルシステム「エコサークル」を2002年に立ち上げるなど、ポリエステルのリサイクル事業を展開してきました。
(*1)DMT法:テレフタル酸ジメチルとエチレングリコールを使用したエステル交換反応によりポリエステルを重合する方法
(2)しかしながら、2017年12月に中国で施行された廃棄物由来原料の輸出入規制によって、リサイクル設備のある中国へ使用済みリサイクル原料を輸出することができなくなったことから「エコサークル」は2018年に製品の回収を終了せざるを得ませんでしたが、使用済のポリエステル繊維を新たな繊維に再生する「繊維 to 繊維」のリサイクル技術の開発は中断することなく継続してきました。
(3)DMT法を活用したケミカルリサイクル技術は、ペットボトルなどを溶かして成形するマテリアルリサイクル技術と比較して、リサイクルに伴う品質の低下が少ないという点で優れていますが、工程にかかる消費エネルギーが大きくなることが課題でした。
(4)一方、主に無色透明のペットボトルからペットボトルにリサイクルする際に用いられる技術としてBHET法(*2)がありますが、DMT法と比較して、工程におけるエネルギー消費量が少ないという点がメリットです。この技術では、着色されたポリエステル繊維から染料などの異物を完全に除去できなかったり、再生されたポリエステル原料に変色を来すなど、品質の高いポリエステル原料にリサイクルすることが困難でした。
(*2)BHET法:使用済ポリエステルを化学的に分解し、中間原料であるビス-2-ヒドロキシエチルテレフタレートに戻して精製した後、ポリエステルに再重合する方法
(5)こうした中、当社は、工程におけるエネルギー消費量がDMT法を活用したケミカルリサイクル技術よりも少ないBHET法を用いて、着色されたポリエステル繊維であっても、石油由来と同等の品質のポリエステル原料に再生できる新たなリサイクル技術を開発しました。
2.新リサイクル技術について
(1)このたび開発した新リサイクル技術は、従来のBHET法に新たに開発した解重合触媒を用いることで、再生ポリエステル原料の変色を抑制することが可能で、石油由来のポリエステル原料と同等の品質の再生ポリエステル原料にリサイクルすることができます。
(2)また、この新リサイクル技術においては、DMT法よりも工程数が少ないためにエネルギー消費量が少なく、さらには排水、排液、解重合触媒などを再利用することができるため廃棄物の削減が可能です。
3.今後の展開
(1)帝人フロンティアは、本年5月にパイロットプラントを松山事業所内に設置して実証試験を進めていくとともに、さらに高品質なリサイクルポリエステル原料の生産と環境負荷低減を実現するリサイクル技術の開発に向けて改良を重ねていきます。
(2)また、持続可能なバリューチェーンの実現を目指し、パートナー企業や国内外のコンソーシアムなどと連携して、持続可能なポリエステル繊維の「繊維to繊維」のリサイクルを実現する仕組みを構築します。
【 当件に関するお問合せ先 】
帝人フロンティア株式会社 広報・IR部 TEL:(03)6402-7087