植物由来原料とリサイクル原料を使用した高ストレッチ繊維 「SOLOTEX ECO-Hybrid」を開発
帝人フロンティア株式会社(本社:大阪市北区、社長:日光 信二)は、植物由来成分を使用した原料と、使用済みポリエステル繊維などをケミカルリサイクルにより再生した原料を使用し、環境に優しく、ストレッチ性を有するサイド・バイ・サイド型複合繊維(*1)「SOLOTEX ECO-Hybrid(ソロテックス エコ ハイブリッド)」を開発しました。
帝人フロンティアは、2020年秋冬向けから重点プロモート素材として「SOLOTEX ECO-Hybrid」の販売を開始し、ファッション衣料やスポーツ衣料、ユニフォームなど、幅広い用途に向けて拡販を図っていきます。
(*1) サイド・バイ・サイド型複合繊維: 熱収縮性の違う2種類のポリマーを貼り合わせて糸にし、コイル状のクリンプ構造を発現させることでストレッチ性を有する繊維。
1. 開発の背景
(1) 近年、衣料用素材に対し、ストレッチやソフトな風合いなどの快適性とともに、環境配慮型素材へのニーズが高まっています。
(2) こうした中、原料の約40%が植物由来で、ストレッチ性などを有するポリトリメチレンテレフタレート(以下、PTT)と、通常のポリエチレンテレフタレート(以下、PET)を貼り合わせたサイド・バイ・サイド型複合繊維「ソロテックス」の需要は拡大してきました。
(3) また、PETの部分をリサイクル原料に置き換えることにより、全ての原料を環境配慮型とした新しい「ソロテックス」の開発も進めてきています。
(4) しかし、PTTとリサイクルPETのサイド・バイ・サイド型複合繊維には、クリンプ構造がばらつくという課題がありました。そこで、これまで培ってきたポリマーを適正に貼り合わせる技術を向上させ、植物由来原料を使用したPTTとケミカルリサイクル原料を使用したPETを貼り合わせた「SOLOTEX ECO-Hybrid」の開発に成功しました。
2. 技術の概要
ポリマーの安定化技術と、機能性を付与するための製糸技術を組み合わせることにより、「SOLOTEX ECO-Hybrid」の開発に至りました。
ポリマー技術 | PETポリマーにケミカルリサイクル原料を使用し、クリンプ構造が発現するようなポリマーへとコントロールすることで、PTTポリマーと適正に貼り合わせる技術を確立。安定したストレッチ性の発現を可能としました。 |
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製糸技術 | 製糸条件を適正化することにより、石油由来の原料と同等のクリンプ構造や、染色加工が可能な品質を実現しました。 |
3. 「SOLOTEX ECO-Hybrid」について
(1) 素材の構造は下図のとおりです。
「SOLOTEX ECO-Hybrid」の断面写真
「SOLOTEX ECO-Hybrid」のクリンプ構造
(2) 素材の特長
石油由来の原料を使用したサイド・バイ・サイド型複合繊維と同等の特長を有しています。
環境配慮型の原料を使用 | 一部に植物由来原料を使用したPTTポリマーと、使用済みポリエステル繊維などをケミカルリサイクルにより再生した原料を使用したPETポリマーを使用した環境に優しい素材です。 |
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幅広い原糸規格に対応 | 33~330デシテックス(*2)という幅広い繊度や、様々に加工された原糸に対応が可能です。 |
素材特性 | 良好なストレッチ性とソフトな風合いを有し、石油由来の原料と同等のストレッチ性や染色加工性を実現しました。 |
(*2) デシテックス:10,000m当りのグラム数を表す、糸の太さの単位
4. 今後の展開
(1) 2020年秋冬シーズンより、原糸およびテキスタイルをファッション衣料やスポーツ衣料、学生服・ユニフォームなど幅広い用途へ展開していきます。
(2) 2020年度に5億円、2022年度に15億円の販売を目指します。
当件に関するお問合せ先
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部
TEL:(03) 3506-4055