超軽量天井材の新用法による吸音効果を確認

帝人フロンティア株式会社は、地震発生時の天井落下による被災を軽減する超軽量天井材「かるてん」を展開していますが、このたび、国立大学法人横浜国立大学(所在地:横浜市保土ヶ谷区、学長:長谷部 勇一)との共同研究により、「かるてん」を既存の天井に重ね貼りすることで反響を抑え、保育施設内の騒がしさを低減させる効果があることを確認しました。

保育施設では、掃除のしやすさや、壁面を収納や絵画などの掲示スペースに利用することなどから、床や壁面に吸音性能の高い材料を使用することが難しく、一般的に、天井に吸音性能の高い内装材を用いるのが有効とされています。しかし、既存の保育施設の場合、十分な吸音性能がない天井材を使用していることも多く、子供や保育者の声などの発生音が響いて、喧騒な状態が生じることが問題となっています。

こうした問題への対策としては、既設の天井材を張り替えたり、吸音ボードを重ね貼りするなどの方法がありますが、使用できる材料は限られていました。そこで、軽量で薄型ながら、十分な吸音性能と不燃性を有する「かるてん」を保育施設の天井材として使用し、その効果を検証することとしました。

今回の共同研究では、実際の保育施設で既設の天井に「かるてん」を重ね貼りし、施工前後での残響時間を計測しました。その結果、施工前は子供の声の主な領域である周波数1kHz以上で0.7から0.8秒程度と反響しやすい状態でしたが、施工後はそれが0.4秒程度に抑えられました。これにより、薄くて軽い「かるてん」を既設の天井に重ね貼りすることで、空間を狭めることなく反響を抑え、保育施設内の騒がしさを低減させる効果があることを確認できました。

吸音性能のある「かるてん」を天井材として用いることで、保育施設内の子供の声や物音の反響を抑えることできれば、子供の発達や言葉の習得に望ましく、保育者の負担軽減にもつながると考えられます。今後は、元来の大規模空間の安全対策という用途に加え、音環境の改善にも貢献できるよう、保育施設をはじめとする様々な空間に向けて「かるてん」を展開していきます。

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帝人フロンティア株式会社 広報・IR部 TEL:(03)6402-7087