STORY

環境配慮型の高機能衣料用シート中綿
「サーモフロント®」の成長戦略。

2026-02-01

20年以上にわたる歴史を背景に、2025年に発表した環境配慮型の高機能シート中綿「サーモフロント®」。メーカー機能と商社機能が融合した帝人フロンティアの強みを活かす、その世界戦略とは。

Project Member

藤田茂樹

若林映志

中綿の可能性を追求してきた
これまでの歴史と資産を、新ブランドに込めて。

一般的なポリエステル中綿より保温性が高いこと。リサイクルポリエステル繊維「エコペット®」を70%以上使用していること。そのふたつの特徴を兼ね備えたシート中綿「サーモフロント®」。そのルーツをたどれば、20年以上にわたって中綿と向き合ってきた帝人フロンティアの歴史が見えてきます。

藤田

私はもともと帝人グループの商社機能を担うNI帝人商事に所属していましたが、2002年に帝人などが、新たにPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)繊維を取り扱う「ソロテックス株式会社」を設立し、新規事業が始まりました。そこで開発された衣料用中綿の営業活動に、私も関わっていたんです。製造現場に近い立場で製品を売ることができるというのは、商社の人間だった私には非常に貴重な経験でした。同社は2010年に解散し、やがてNI帝人商事と帝人ファイバーが合併して現在の帝人フロンティアに引き継がれましたが、私自身はずっと中綿の営業を継続して担当していました。ただ、これまでは、製品の表に出ない中綿は資材としての位置づけが強く、どれも各々の繊維素材の名称で販売されていて、母体となるブランドがなかったんですね。その後、衣料の機能性を担う中綿の注目度が年々高まっていることを踏まえ、2025年「サーモフロント®」としてブランド化されたという流れです。

若林

私は現在入社4年目ですが、入社当初から藤田さんの下について中綿の営業を担当してきました。2024年にブランディングプロジェクトが始まり、ネーミングや企画、戦略まで含めて、チームの中で議論しながら進めてきました。これまでも帝人フロンティアとして、国内では中綿のシェアはある程度獲得できていたのですが、やはり今後、海外にも打って出て成長していくためには、ブランドとして認知度を高めていくことが不可欠だったんです。入社3年目でそういう経験をさせていただけたのはとてもありがたかったですね。

藤田

今回のブランディングにあたってラインナップも整理し、3つのサブブランドを設定しました。まず、「エコペット®原綿」を100%使用し、保温力がもっとも高い最上位の「サーモフロント®OA」、それから嵩高性とコンパクトに圧縮できるやわらかさの両方を兼ね備えた「サーモフロント®SL」。最後に旭化成株式会社の「ベンベルグ®」を用いて、吸放湿、吸湿発熱性を備えた「サーモフロント®BE」です。

若林

これらのラインナップを、顧客企業の特性や、企画されているウエアに合わせてご提案しているという形です。弊社の場合、20年以上にわたって中綿を扱ってきた歴史があるだけに、長いお付き合いが続いているお客様も少なくなく、そこは資産だと思います。今後はそこからさらに世界の市場で新規顧客を開拓していきたいです。

若手の成長をサポートする
海外研修で営業力に磨きをかけて。

シリーズの目標として、ブランドデビューの2025年度は販売量30万メートル、2028年度には100万メートル達成をめざす「サーモフロント®」。その目標に到達するため、営業チームを再編成し、国内だけでなく海外の展示会へも積極的に挑戦しています。

藤田

昨年から、課の中に「サーモフロント®」を含めた戦略素材を扱うチームができ、現在約8 名のメンバーが日々知恵を絞っています。メンバーそれぞれに主担当の商材は決まっているのですが、きっちり担当が線引きされたような縦割り型組織ではないのがポイントです。横串でつながり課題を共有しながら、最終的には全員がどの商材のことでも対応できるような体制にしていきたいとみんなで考えています。そういった複数の素材を、衣料部隊と一緒に展示会に出展するなどして、来場された方に、「へえ、こんなものもあるの?」と感じていただけるような機会を増やしています。

若林

海外に行く機会も増えていて、2025年は会社から3ヶ月間の海外研修に派遣してもらいました。滞在地はアメリカで、衣料テキスタイルの商談に同行させてもらったり、展示会もカジュアルウエア系からスポーツ・アウトドア系まで回って「サーモフロント®」をご紹介しましたが、反応はどこも非常によかったです。とくに、弊社が繊維そのものからつくっていることに興味を持ってくださるお客様が想像以上に多かったですね。

藤田

北米やヨーロッパのお客様は中綿に対するこだわりや要求が非常に強いですね。中綿は決して「付属品」ではなく、ウエアの性能を左右する主役級の存在であるという認識なのだと思います。

ですから機能面のかなり深いところまで尋ねられますし、「中綿の取扱説明書はあるか?」と聞かれたりもします。そういったお問い合わせにも即座に応えられるよう、こちらも普段からしっかり提案の根拠を準備し、説明の筋道を組み立てておかなくてはなりません。これは弊社の海外支店勤務のベテラン営業マンにアドバイスされたことですが、海外は展示会での商談も、情報のキャッチボールがとにかくスピーディなんですね。そんな中で「戻って確認します」と言っているようではチャンスを逃してしまうから、どんな球が飛んできても受け止めて投げ返せるようにしておけということでした。今回の研修期間中も、そういった場面は何度となく味わいましたが、それも自分の力になったなと感じています。

モノづくりに近い立場だからこそ
語れることをブランド価値に。

当初の予想を上回る手応えを得ている「サーモフロント®」。長い歴史に裏打ちされ、たくさんの人の思いが詰まった素材だからこそ、「中綿の代名詞的存在として、世界で通用する存在に」というチームの思いはますます強まっています。

藤田

メーカー機能と商社機能が合体しているのが弊社の特徴ですが、それは「サーモフロント®」の営業活動でも大きな武器になっていると感じます。やはり自社でつくっているものを売るというのは、単に仕入れて売るのとは違う熱の入り方がありますし、それだけ説得力も生まれます。私自身、2002年に初めて中綿の開発営業に従事してから今に至るまで、生産現場に踏み込んで情報をインプットすることを大切にしてきたので、今はそのバトンを若林さんのような若手に受け渡している感覚です。営業マンが製造現場のことをしっかり理解して商談に臨めば、お客様の信頼も勝ち取れますし、お客様の信頼を勝ち取れれば、工場のモチベーションも上がりますよね。

若林

製造現場との信頼関係はとても大切です。私たちの提案がお客様に響いているのも、加工場さんがいいものを作ってくれるからこそだと思っています。

藤田

私にとって帝人フロンティアの強みって、突き詰めれば「人」なんですよね。研究開発に取り組む技術者しかり、生産加工拠点の方々しかり。さらに販売する我々も、お客様もすべて人なので、誰が欠けても今の形にはなれていない、ということを忘れずにいたいと思います。この先、「サーモフロント®」と聞けば世界の誰もがすぐに中綿シートだとイメージできるぐらいの存在まで育てていきたいですし、「サーモフロント®」と一緒に若林さん自身ももっと世界に羽ばたいて、彼ならではの成果を生み出してほしいです。

若林

そうやって背中を押してもらえる環境はとても心強いです。おかげさまで「サーモフロント®」の販売は、当初思い描いていた以上に順調に伸びており、これも先輩方からのバトンを受け継いで準備してきたことが結果につながったんだと実感しています。これからも引き続き世界に目を向けて、お客様のニーズを探りながら、新たな「サーモフロント®」シリーズの展開を増やしていくことが楽しみでもあり、目標です。

「サーモフロント®」に至るまでの20年超の歴史を知るベテランと、新発売を契機に、新たな歴史を刻んでいく若手と。世代を超えて受け継がれていく「帝人フロンティアイズム」が、こんなところにも流れています。

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