開発ストーリー

ウェアラブルでゴルフレッスンを加速。
次世代型サービスを「マトウス®」から。

「繊維+センシング」から生まれる「ウェアラブルソリューション」でコトづくりに挑め!時代が求めるニーズに応え、「いつでも・どこでも・だれでも」を叶えていく挑戦の舞台裏。

Project Member

新事業開発室

清水 崇嗣

技術開発部
イノベーション開発課

安光 玲

センシング技術をもっと暮らしの身近に。
ゴルフから始まった「マトウス®」の挑戦。。

2021年1月にデビューした「マトウス®ゴルフ」は、着てスイングをするだけで、ウェアと一体化したセンサが体の動きを読みとり、改善ポイントをフィードバックしてくれるレッスンを支援する次世代型サービスです。

安光

センシング技術の活用について、社内で話が出始めたのは2010年頃だったでしょうか。その後、技術の基礎検討が本格的に始まって、2017年には消防士の熱中症リスクを予想するセンシングデバイスを搭載した「スマート消防服」という製品が生まれています。私もその開発に関わっていましたが、その頃から「今後は体の動きが注目される」ということで、開発課の中でもいろんなアイデアが出ていたんです。それで新事業開発室と一緒に次のプロジェクトを検討する中で、浮上してきたのが「ゴルフレッスン支援ツール」というテーマでした。

清水

今回、ゴルフに照準を合わせたのにはいくつか理由があって、ひとつはコロナ禍でアウトドア人気が高まったのと同じように、スポーツやレジャーを求める方がゴルフ場や打ちっぱなし練習場に流れたんですね。加えて、意外なようですが20代30代にもゴルフ人気が広まり始めています。そういった事情から、減少傾向にあった競技人口がやや上向きになっていた点に着目しました。さらにゴルフ好きな方は、上達のためなら積極的に投資をされる傾向があるので、そこは市場として可能性があると思ったんです。

安光

仕組みをご説明すると、このウェア内部の腰と背中部分にセンサを入れるポケットがあり、あとは腕に巻くベルトにもセンサがついています。これらが体にフィットして、スイング時の体の動きを読み取ってくれるわけです。この時にセンサをぴたっと固定するのに、重要な役割を果たしているのが当社の「ナノフロント®」という機能素材です。読み取ったデータは、付属のタブレット端末で可視化でき、腰の回転や姿勢、体幹のブレなどの分析結果がひと目でわかるようになっています。フォームを前後・左右・上下の360°マルチアングルで見られて、さらにお手本となるデジタルコーチの動きと練習者の動きを重ね合わせて比較することもできるので、改善点がわかりやすいんです。

清水

私たちは、まずはティーチングプロのいらっしゃるゴルフスクール向けのレンタルサービスとしてご提供しています。ウェアとセンサ、リストバンドといった装着品に加え、専用アプリの入ったタブレット端末がセットになっていて、生徒さんの上達具合をカルテのように記録できる機能もついています。モノ売りというよりは、上達サポートのサービスを月々ご活用いただくイメージですね。

「マトウス®には心がある」。
レジェンドにそう言わしめたオリジナリティ。

こうして市場に出た「マトウス®ゴルフ」ですが、未知の業界に飛び込んで販路を開拓するのは簡単ではありませんでした。

清水

新事業開発室というのは、マーケティング戦略を立てて最終製品までつくり上げ、ブランディングして最終的には販路も開拓することがミッションです。「マトウス®ゴルフ」は、まずはティーチングプロを探して、直接アタックするというところからのスタートでした。私たちはゴルフ用品メーカーではないので、ゴルファーの間ではまだまだ認知度が低いというのが正直なところですね。そんな中でありがたかったのは、公益社団法人日本プロゴルフ協会の推薦品に選んでいただいたことです。その時に、会長である倉本昌弘さんに「これはただの計測機器じゃない、マトウス®には心がある」と言っていただいたことは忘れられません。

安光

「マトウス®ゴルフ」のように、ウェアとアプリケーション込みでゴルフレッスンを支援するツールは、社内で調べた限り前例が見当たらないですね。部屋のあちこちにカメラが仕込まれていて、フォームをコマ撮りで撮っていくような分析ツールとは違って、場所を選ばずどこへでも持ち歩けるのも特徴です。極端な話、半畳ほどのスペースでクラブを持たずにスイングだけしても、フォーム分析は可能ですから。

清水

将来的には、生徒さんがご自宅にいながらにしてコーチとオンラインレッスンができるような仕組みもつくっていく予定です。

安光

コーチが管理する詳細なカルテとは別に、生徒さんご自身でも簡単なセルフチェックができるようなスマホアプリもご提供できるよう開発を進めています。またお手本となるデジタルコーチも、なりたいタイプに合わせて選べるようバリエーションを増やしていく予定です。ゆくゆくは、その教室の先生ご自身の動きをアプリに反映できるようにもしたいと思っているんです。

ゴルフ以外にも広がる可能性。
フロンティアスピリッツで道を切り開く。

「マトウス®ゴルフ」が市場の声を反映してアップデートを図っていくのと並行して、現在、ゴルフ以外のスポーツやアクティビティにも技術を応用していく構想が広がっています。

安光

「マトウス®」開発に関わったメンバーは、10名程度でしょうか。センシング技術やアプリケーション開発の重要性は言わずもがなですが、衣服として着用した時に軽く、違和感がないことも大事ですから、この最終形に到達するまで、試作品を20型ほどもつくってアップデートを繰り返しました。そのおかげで「マトウス®のウェアは着ていることを忘れる」というお声が多いですね。今は上半身だけですが、今後は下半身の動きをセンシングしていくことも可能です。

清水

「マトウス®」で構築した技術は、ゴルフだけでなく、姿勢・体幹・角度が軸となるほかのスポーツにも応用できるので、今後は野球やテニスなども視野に入れて開発を進めていくことになります。

安光

また、体の動きを観察したいというニーズは、バレエなどの舞踊や、リハビリテーション、あるいは伝統技能の世界でもありますよね。熟練技能者の方がどんどんリタイアしている今、後継者が学べるようにその動き方を残しておく、というのもひとつの使い方だと思います。

清水

そのためにも早くゴルフで「マトウス®」の認知度を上げて、次のステージに行ける地固めをしたいですね。未知のゴルフ業界に飛び込んで試行錯誤を繰り返した1年弱、初めて知ることばかりで、自分自身、世界が広がったなと感じます。

安光

モノ売りからコト売りの転換というのは、社内でも新しい試みなので苦労は多いですが、フロンティアスピリットを持って、繊維で社会のお役に立てることならなんでもやっていきたいですね。

社会の変化をいち早くとらえ、「繊維+センシング」でDX(デジタルトランスフォーメーション)を形にした「マトウス®」。ゴルフのみならず、さまざまな分野で「いつでも・どこでも・だれでも」を叶えていくための挑戦は、まだ始まったばかりです。

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